わたしとしては当たり前のことだと思うのですが、企業側と労働者側とどちらも担当することはとても有利なことです。お互いの弱点や心情を理解することで迅速な解決が図られるからです。
職場問題(企業側)
労働審判対応
中小企業の場合、温情や慣習のため、なかなか処分をすることをしないまま、最初の処分が解雇となるケースが不可避的に生じることがあります。大企業の例を持ち出して、手順を踏んでいないからということで、労働審判でも不利になることを経験してきました。労働審判においても言うべきことを言いながら適正妥当な解決を図るべきですが、裁判所とのコミュニケーションをとること自体に困難を感じた方も多いのではないでしょうか。他の例も豊富に踏まえて、言うべきことを言うとともに、企業全体の利益の観点から総合判断をしていただくタイミングのアドバイスなど弁護士がすることはとても多い分野です。
労働組合との団体交渉対応
突然労働組合がやってきて、思いもかけない請求をしてくるということを体験されたことも多いと思います。自然と反発もしてしまい、紛争を拡大して裁判になるという事例をたくさん見てきました。労働組合との交渉を経験していれば、労働組合の言い分のどこまでが正当であり、どこからは過大であるかということも堂々と主張することができます。労働組合と協力して紛争が解決できれば、企業ダメージも最小限で収まる場合も少なくありません。離れしている、あるいは図々しい弁護士が対応することが合理的です。
クレーム対応
個人事業主の方に多いのですが、こちらの対応でクレーマーを作っていたり、攻撃を激化させているという事例が見られます。このまま不当な要求をされるのではないかとか、いつまでも押しかけて居座るのではないかという不安が出てくることは当事者であれば仕方が無いことです。クレーマーの話を聞いて納得して解決してもらうことは、ボタンの掛け違いをみつけることで対処が可能な場合が多いです。
但し、職業的なゆすりたかりとクレーマーとを区別して対応することが出発点です。
就業規則・36協定の作成
本来は社会保険労務士の先生のお仕事です。しかし、例えば服務規定の作成は、経営方針など、オーナー様の思い入れを大切にしてその企業それぞれの独自性を出すべきところだと思います。どこまで服務規定に書き込めるか、どこまでオーナー様の思いを従業員の方々に理解してもらうかという行程は、就業規則を作成する楽しみでもあります。また、従業員の方々と緊張状態にある場合は、弁護士が従業員と話し合いも行い作成する作業も必要になることがあります。
なお、法の定めた特別の職種ではない場合は、36協定を締結しなければ、1日8時間を超えた残業をさせることは違法で刑事罰の対象になるので、くれぐれもご注意ください。