保護命令・家事調停の呼び出しを受けた場合
コラム
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離婚をしたくない人の家事調停の心構えと対応 1 家庭裁判所に出向くと先ずこうなります。 2 調停が始まります 3 家族再生を目指す人の心構え 4 調停委員に何を話すか 5 離婚についての意見は曖昧に 6 申立人の話を十分吟味する 7 反省を口に出す 8 弁護士の役割
1 家庭裁判所に出向くと先ずこうなります。
家庭裁判所から通知が来て、定められた日に出向き(裁判所の用語では出頭と言います。)、建物の指定された場所に行って、受付をします。何時に呼び出しを受けている誰それですというと、待合室を案内されて、待機するよう言われます。その際に、番号札を渡されることが多く、待合室では、氏名を呼ばないで「~番の番号札をお待ちの方」と呼ばれることが多いようです。呼びに来た調停委員について、調停室に入ります。
調停室は、小さな会議室です。大きなテーブルの向かい側に年配の男女の調停委員が座り、その向かい側に当事者が座ることが一般的です。面会交流や親権の話し合いがあるときは、テーブルの右側か、左側に調査官が座ることになります。
離婚調停の場合は、最近は、夫婦が調停室で顔を会わせることがなくなっているようです。順番に出たり入ったりします 。
2 調停が始まります
順番に出入りすると言いましたが、多くはまず申立人から話がきかれます。離婚理由や離婚の意思の強さを尋ねられます。まあ、相手方から言わせると、誇張だとか虚偽だとか、納得行かない説明がなされるわけで、ある程度は先入観を持たれることになるわけですが、それは仕方がないと割り切ったほうが良いです。
3 家族再生を目指す人の心構え
離婚をしたくないだけの人がいます。慰謝料や財産分与に応じたくないということから、離婚をしないということだけを強調してしまいます。これは、どうしても見抜かれてしまいます。どうなるかというと、早々に調停が打ち切られて、裁判に移行してしまいます。
やり直すことを考えていらっしゃる場合は、やり直すために自分ができることをするということを自覚して、改めて考えることが大切です。 具体的には、謙虚に相手方の言い分に耳を傾けるということです。相手方の言い分のうち、誇張の部分や虚偽の部分を探すのではなく、ギリギリ肯定できる部分を探さなければなりません。あの時のこういう出来事を申立人はこう考えているという可能性があるとか、自分ではそういうつもりはなかったけれど、申立人はこう考えた、こう感じた可能性はあるかもしれない。というぐあいです。一番ダメなのは、「自分はそういうつもりでなかったのだから、そういう風に考えるのはおかしい」というぐあいに、相手の気持ちではなく、「こうあるべきだ」ということを押し付けることです。2人の出来事の真実性については、調停委員はわかりません。どちらか正しいかということを言いあっても、不利になる可能性が高いです。先に述べたように、微修正をすることがむしろ有効です。
もう一つ大切なことは、感情的にならないことです。概ね、申立人は、相手方であるあなたが、精神的虐待をしていると主張しています。あなたが、申立人の主張を聞いて、逆上するのか、申立人の心情を理解しようとするのか、どちらの姿勢を示すかが、調停の大きな分かれ目になる可能性が高いです。あなたが逆上すれば、申立人のいうように、あなたは怒りっぽく、些細なことで文句やダメ出しをしてくる人間だということをあなた自身が裏付けをしてしまうということになります。
自分を守らず、教えていただくという姿勢を貫きましょう。
4 調停委員に何を話すか
先ず、相手方の言い分を聞かせていただく。自分も考えてみたいし、離婚する場合でも納得して離婚したいと言うべきでしょう。 次に、申立人の言い分で違うと感じたところは、率直言うべきです。但し、違うとか大げさというよりも、先ほど述べた微修正の方法でいう方が効果的です。
そして、申立人の言い分の理解できないところは、調停委員に相談する姿勢で、一緒に考えてもらうということが良いと思います。調停委員は、申立人の言葉、感情、論理で、先ず考えてそれを伝えようとします。十分理解できなくても、その通りだとなんとなく思う場合もあります。この勢いを止めるためには、思考をする必要があります。あなたも考えて、教えてくださいと申し入れることは、調停委員に思考をしてもらうことになります。
調停委員には、こうやって中立になってもらうことがあなたのまずやるべきことです。 申立人が調停委員と話している時は、あなたは待合室で待たされます。30分くらいは待たされると思いますが、長くなる時があります。長くなっているということは、調停委員と申立人が意見が食い違っている時だと思ってください。調停は長く待たされることが、有利だと思い、焦らないようにしてください。
5 離婚についての意見は曖昧に
必ず調停では、申立人は、離婚の意思が固いようです。あなたが離婚したくないというならば、調停での話し合いが難しいようですから、調停は不調となり、別の手段(訴訟なのですが、あまりはっきり訴訟と言われることはありません。)に移行すると思いますといわれてしまいます。調停が打ち切られてしまうのです。この状態については、私は良くないことだと思っています。訴訟になると、もう離婚を前提とした話し合いしかできないからです。
このため、離婚は絶対しないというよりも、「申立人の話を十分聞かせていただいて、納得出来たら離婚も考えざるを得ないと思っている。」とか、「子どもとしっかり会えるのであれば、申立人の希望に沿う形で考えても良いと思っている。」等と曖昧にした方が良いと思います。
6 申立人の話を十分吟味する
吟味すると言って吟味しないと、調停委員も、こちらがまじめに調停に応じていないと思い、申立人の調停打ち切りのリクエストに待ったをかけてもらえなくなります。しかし、申立人のあなたにした仕打ちや、大げさな言い分に腹が立ち、まじめに吟味したくないことが一般的です。どうしたら良いか。 心理士等専門家のアドバイスを受けるということもひとつです。ご自分で考える場合のヒントとしては、申立人の言い分に、正義、常識、良い悪い、こうするべきだというものさしをあてないということが肝心です。もろもろの申立人の弱い部分を承認して、申立人だったらどう感じるだろうかということで考えを進めるということです。そうして、悪いのは申立人でも、かわいそうなことをしたと思えるのであれば、率直にそういうお話をするべきだろうなと思います。
7 反省を口に出す
1回目の調停では、申立人の主張を理解しようとするだけで時間が終わってしまうと思いますので、2回目以降の期日のことということになると思います。 反省を述べるというのは、私が悪かった二度としないから勘弁してくれというのとはちょっと違います。あくまでも良い悪いは持ち込まない方がよいでしょう。 自分のどんな行動が申立人を苦しめたのか、どのような気持ちにさせたのかということを想像して、その自分の行動の理由を考える。理由を無くす形で、将来の青写真を示すということが反省の意味です。将来の青写真を示すにあたっては、これまでの愉しかった思い出を参考に出すことも効果があるのではないかなと思っています。
8 弁護士の役割
弁護士は冷静な第三者として、事態の冷静な状況分析、相手の心情に対する冷静な分析、それらを本人にきちんと伝えることがまず第1です。あなたがくじけそうになった時に、やり直しの初心を再提案してもらうことになります。 何よりも、調停委員に中立になってもらうための活動や、あなたの代わりに逆上してもらうなどの役割が考えられます。 家族再生を目指すならば、しっかりとその意思を告げることが肝要です。