特に労働審判事例では、使用者側の代理人に就くことが多くなりました。事案を見ると、労働者側が信義に反する請求だと感じる事案も増えているように感じます。労働基準法や労働契約法の知識が無いところに付け込まれてしまっているという事案や基準を満たさない応募に不用意に答えてしまう温情に付け込まれるという残念な事案が増えているようなのです。
常識にとらわれて対応をしてしまうと、思わぬ支出が必要となることがあります。こちらの弱点をよく知った上で、合理的な解決をするという姿勢が必要です。
無理な請求ということで言えば、最近労働審判で労働者の請求が棄却されるという事案もありました。
特に残業代の請求が、きちんと労務管理ができていない職場で増加しているようです。
一番は解雇事案です。こらえるだけこらえていたのに、突然解雇という強力な手段を行使してしまうと、裁判所から見るとこらえていた部分が全く評価されず、解雇という手段ばかりに目が向いてしまいます。労働審判では、使用者側、労働者側の審判員もつくのですが、大企業の役員や労働組合の場合が多く、中小零細企業の実業を知らない人が事案を担当するということは忘れてはいけないポイントです。
解雇の問題は、即ち職場の秩序維持の問題です。先ず、法定義務にかかわらず就業規則を整備して、服務規程や懲戒手続きについて、きちんと文書化することが第1歩です。そして規則に従って、けじめを記録化し、労働者にやり直しの機会をきちんと与えることが必要です。やることをやるということが有効な解雇のための心構えです。
それでも最終的に解雇という手段に出ることができるかについては、専門家の意見を聞いて慎重に行うべきだと思います。無効な解雇をしてしまうと、働いていない人に給料を払わなくてはならないことになり、解決が長引けば大きな出費になってしまうからです。社会保険労務士さんや弁護士に気軽に意見を聞ける環境を作ることをお勧めします。
<時間外労働管理の必要性>労働時間管理についても行うべきです。客観的な裏付けが無ければ、労務管理もしにくいということが実情です。時間外手当の無制約の増大も防ぐことができます。現在は携帯電話がありますので、会社の外の仕事の場合でも、報告を求めるなどして労働時間管理を行うことが推奨されています。また、時々は使用者として労働時間の実態を把握する必要もあるというのが国の考え方です。最終的に労働者側の無理な時間外労働時間が認められないとしても、ひとたび労働審判や裁判を起こされると弁護士費用が掛かり、裁判対策に時間を取られてしまいます。さらに、心理的負担も軽視できません。しっかりとした労働時間管理は必要作業だと考えて行うべきだと思われます。
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