労災申請、損害賠償請求の代理業務、 過労死・パワハラ・精神疾患事案等                土井法律事務所 本文へジャンプ
目次

1 労災保険給付、損害賠償請求という救済策が存在すること

2 簡単ではない認定 否定の論理と弁護士の役割

3 パワハラ事案、精神疾患事案の特殊性と弁護士の役割


1 労災保険給付、損害賠償請求という救済策が存在すること

突然ご家族が病気になったり、けがをしたり、あるいは亡くなってしまったという場合、遺されたご家族は、途方に暮れることになるでしょう。特にお亡くなりになってしまうと、自分自身さえ見失ってしまうことがあります。精神面だけでなく、そのご家族が一家の支柱である場合等、経済的にも回復しかねない打撃を受けることもあります。

しかし、その病気、けが、お亡くなりになった原因が、働き方に原因がある場合は、労働者災害補償保険、いわゆる労災から補償される場合があります。

労働災害だと認定されれば、休業給付と特別支給金で賃金の約8割の交付を受けることができますし、治療費も支払ってもらえます。お子様が小さい場合は就学援助を受ける場合もあるのです。

さらに、その病気、けが、お亡くなりになったことについて、使用者に落ち度があった場合は、使用者に対して損害賠償請求をすることもできます。

 


2 簡単ではない認定 否定の論理と弁護士の役割

仕事中に高所から転落したとか、道具で自分の体を負傷したというはっきりした事例では、労災認定は認められやすくなりますが、いわゆる過労死、過労自殺など、目に見えない疲労の蓄積によって突然大事に至るような場合は、仕事が原因だとすることに慎重になる場合もあるし、使用者も抵抗する場合も出てきます。隠ぺいが起きたこともありました。

また、パワハラや長時間労働など、客観的な記録が無く、認定が困難な場合も少なくありません。

特に損害賠償請求の場合は、使用者側は必ずしも協力的ではなく、訴訟になることも少なくありません。訴訟になると、被害者側の落ち度が主張されてしまい、それによって精神的に傷ついてしまうということも起こりかねません。

 

弁護士の役割が大きな事案になります。

労災申請をする際には、行政が認定しやすいように資料を調え、意見書を作成して申請をするということが不可欠です。資料を集めるための事実調査も弁護士の腕の見せ所になります。何を行政は知りたがっているのかについて、よくよく研究し、その痒い所に手が届く資料を提出しなければなりません。また、けがや病気に関してある程度の知識を持ち、専門医の協力を得ることも必要となります(私の取り扱い事件と傷病名)。

 

損害賠償の請求をする場合は、労災申請とはまた別の準備が必要です。特に使用者の落ち度については激しく争われることになります。様々な客観的資料に基づいて論理を構築する必要があるわけです。


3 パワハラ事案、精神疾患事案の特殊性と弁護士の役割

近年増加しているのはパワーハラスメントによる精神疾患にり患したことに対する損害賠償請求事案です。特に精神疾患事案は、確かな知識に基づいて戦略を構築していく必要があります。病名だけでなく、具体的な症状を勘案して、ご本人の再出発にとって、逆効果にならないように、進めていくということが必要です。そうでないと何のために弁護士に依頼しているかわからなくなります。

弁護士は医師ではありませんので診察や治療は行いません。ただ、精神疾患に関する正確な知識は、解決に向けて大きな武器になります。精神科医から直接教えを受けると、教科書には書いていない実務的な常識というものも身に就くことができ、調査や立証方針にとても役に立ちます。精神疾患や心理学の知識は興味を持って正しい学習を積み重ねて初めて身につくものだと思います。

 

また、紛争を抱えた依頼者の方々は、紛争自体が精神面に影響を与えることがあります。そのことをよく理解して、対等の人間として、一緒に解決を目指すことが必要で、そのためには知識を持つことが必要です。

 

私は、このような観点から長年にわたって意識的に、精神医学、認知科学、認知心理学の研究を進めてきました。弁護士ですが心理学系の本を二冊上梓しています。